働かなくても食っていける社会は随分先に『悲惨な未来の結末』としてやってくるのだろう

参考記事:働かなくても食っていける社会がもうすぐやってくるよ
     「生産性が向上すると働かなくとも喰っていける」はニートの戯言
     【本】反貧困
     

 働かなくても食っていける社会がもうすぐやってくるよという記事が書かれてから、そろそろ2年になるが、今だに日本人は働いている。はたして本当にそんな世界が来るのだろうか?そして、どうやってそれが成立するのだろうか?
 実はこの『働かなくても食っていける社会がもうすぐやってくるよ』という記事内では、それが成立する過程でとんでもない悲惨な状況を想定している。

結果、ものすごい数の失業者と、「道に落ちてる直径30cmのケーキに出くわしたアリさん」企業がたくさん出現するだろう。<略>
こういう社会において、「働く」ということは、ごく稀な人間だけが手にできる、非常に貴重な権利になるだろう。それを巡って、熾烈な争いが起こる。<略>
しかし、そのコストの中のホワイトカラーの人件費はタダになる。<以降略>

『働かなくても食っていける社会がもうすぐやってくるよ』より抜粋

 さて、ホワイトカラーの人件費がタダになるとはどういう状況だろうか? 
 例えばソフトウェアの性能向上によって生産性が極端に上がって今の仕事が1/100の人数でこなせるとすれば、恐らく人件費は1/100程度になるだろう。その時には「100人分の仕事をこなせるから100倍の人件費をよこせ」と言おうにも言えないはずだ。*1
 さらに生産性が高まれば、ホワイトカラーの人件費なんてタダ同然にまで落ちる。そしてその時はホワイトカラーの就職口はほぼ無くなっているだろう。大量の失業者が発生する時代の到来である。
 


 恐らく『働かなくても食っていける社会』が真面目に議論され始めるのは失業率が50%を超えたあたりだろう。その時は働きたくても雇用は無く、誰もが明日の食事を心配するような社会だ。これが”物凄い数の失業者”が意味する所だ。


 『働かなくても食っていける社会がもうすぐやってくるよ』では、悲惨な未来において『働かなくても食べることが許される』という救いを期待している。しかし本当にそんな時代が来るのだろうか?もしそんな時代が来たとしても、それは『働いたら負け』という言葉からは程遠い世界になるだろう。

*1:生産性向上の原因が個人の能力では無くソフトウェアにあるならば、誰でも100人分の仕事をこなせるという事だ。誰でも同じ能率ならば賃金の上昇は期待できないよね。